《職場の教養に学ぶ》
お題:一円のお手伝い
2024年11月29日(金曜)
【今日の心がけ】働きに喜びを見出しましょう
砂川昇建の思うところ
お手伝いで「1円」を上げる家庭の話です。日本の名経営者である、稲盛和夫氏は、成果を上げた社員にお金をあげなかったそうです。稲盛和夫氏の「成果に対して賞賛することでモチベーションを高める」という手法は、彼の経営哲学の一部であり、深い意図が込められています。一見「お金を出さない=ケチ」と捉えられるかもしれませんが、この方法には独自のメリットとデメリットがあります。お金を与えるインセンティブは短期的な効果にとどまりがちですが、賞賛は「自分の努力が認められた」という感情を引き出し、長期的なモチベーションにつながります。賞賛が共有されることで、他の社員にも「自分も頑張れば評価される」という前向きな空気が生まれます。賞賛を通じて、何が「正しい努力」とされるのかを明確に伝えることができ、社員の行動を会社の理念に近づけることができます。お金ではなく賞賛を中心とした評価システムは、稲盛氏の「利他の精神」を体現しています。稲盛氏の「お金を与えない」という方針は、単なる経費削減ではなく、「本質的な動機付け」を重視しているからです。お金を軸にした評価制度では、社員が「金額」にばかり目を向け、本来の目的である成長や貢献を見失う可能性があります。稲盛氏の手法は、「内面的な動機」を重視したもので、長期的な組織力強化に大きな効果があります。ただし、すべての社員に均等に適応するわけではないため、金銭的報酬とのバランスや、公平で具体的な賞賛の仕組みを構築することが成功の鍵です。「ケチ」と思える部分にも、経営哲学に基づく深い狙いがあるといえます。
著者 砂川昇建