《職場の教養に学ぶ》
お題:山茶花
2024年11月7日(木曜)
【今日の心がけ】日本語の奥深さを感じましょう
砂川昇建の思うところ
俳句と山茶花の話です。山茶花や椿は冬に花が咲きます。山茶花や椿が冬に花を咲かせるのは、受粉の戦略や環境への適応が関係しているからです。また、山茶花と椿は散り方にも違いがあり、俳句の季語としても使い分けられています。山茶花や椿は、冬に咲くことで他の花との競争が少ない時期に花粉媒介者(主にメジロやヒヨドリなどの小鳥)を引き寄せ、効率的に受粉を行います。冬の寒さにも耐えられるよう、厚めで丈夫な花びらを持つことで、低温や霜に強い構造になっています。冬に活動する虫は少ないため、鳥を主な受粉者として適応してきたと考えられています。また、山茶花や椿の花には蜜が多く含まれているため、鳥を引き寄せやすい特徴があります。山茶花の花は、花びらが一枚ずつバラバラに散るのが特徴です。これは花と茎の構造が原因で、花が成熟すると個々の花びらが分かれて散ります。椿は、花が丸ごと落ちる特徴があります。これは、花と茎の接合部分が強固に繋がっており、ある程度成熟すると花全体が一度に落ちやすいためです。特に日本では、椿が花ごと落ちる姿が「首が落ちる」ことを連想させるため、縁起が良くないとされることもありますが、自然の成り立ちからくる違いです。俳句では、季節の移ろいを表現するために「山茶花」と「椿」がそれぞれ異なる季語として使われます。山茶花は、冬の季語(11月~12月)ですが、椿は、春の季語(1月~3月)です。このように、山茶花と椿には咲く時期、散り方、そして俳句における季語の扱い方に違いがあり、それぞれの花が日本の文化と自然の美しさを表現しています。
著者 砂川昇建