《職場の教養に学ぶ》
お題:鮭の子
2024年11月11日(月曜)
【今日の心がけ】命のもとに感謝しましょう
砂川昇建の思うところ
鮭の遡上の話です。「しゃけ」と「さけ」は、日本語の発音や言葉の変遷に関する興味深い事例です。昔は「しゃけ」と言われることが多かったのですが、最近では「さけ」と呼ぶのが主流になっています。これはいくつかの理由や変化が影響しています。テレビやラジオなどのメディアでは「さけ」と発音することが多く、自然に「さけ」が一般的になってきたと考えられます。一方、「しゃけ」は加工品としての「鮭」(例:焼きしゃけ、しゃけフレーク)を指すことが多く、地域的な表現や家庭での言い回しとして使われてきました。若者の間では、「しゃけ」がやや古風な表現として受け取られ、「さけ」の方が新しい印象を持つとされる傾向もあります。特に若い世代の間では、「さけ」と表現することでより一般的で標準的な言い方だという意識が広がっています。鮭が生まれた川に戻るのは、そこでの環境が自分たちの繁殖に適していることを知っているからです。川の上流は外敵が少なく、酸素が豊富な冷たい水が豊富に流れ、卵の孵化と稚魚の成長に適しています。産卵後、鮭は死を迎えますが、栄養素として次の世代に還元されるため、生態系の循環にも貢献しています。鮭が生まれた川に戻るために、匂いを主な手がかりとしています。川の水には、地形や土壌、植生の影響で独自の化学成分が含まれており、鮭はそれを記憶していると考えられています。この「匂いの地図」に従い、川の水の成分を感じ取ることで、自分の生まれた川に戻ることができます。鮭は稚魚の頃に川を下って海に出ますが、その時に「匂いの記憶」が刻まれると考えられています。鮭の回帰のメカニズムについては、近年の研究で「嗅覚神経」が重要な役割を担っていることがわかってきました。また、特定の化学物質を識別できる能力もあり、川ごとに異なる微量の化学物質を頼りにすることが確認されています。こうした嗅覚による回帰は、生まれた川への驚異的な「帰巣本能」を支えているのです。
著者 砂川昇建