《職場の教養に学ぶ》
お題:良心と良識
2023年8月18日(金曜)
【今日の心がけ】善悪の判断力を高めましょう
砂川昇建の思うところ
お釈迦様以前に悟りを開かれた六人の佛様と、お釈迦様を含む七人の佛様を過去七佛と呼んでいます。七人の佛様が共通してお説きになった基本的な教えを七佛通誡偈と呼ぶそうです。その神髄は「諸悪莫作、衆善奉行、自浄其意、是諸仏教(しょあくまくさ、しゅぜんぶぎょう、じじょうごい、ぜしょぶっきょう)」悪い事をしてはいけない、善行を行い、自分の心を清める事、これが仏教の教えです。茶道の開祖、千利休(1522ー1591年)にこのような逸話があります。ある時、門人が利休に「茶の奥義とは、如何なるものでしょうか?」と訊ねた時、利休は「それは夏は涼しく、冬は暖かく、服の加減がよろしければ良い」と答えた。門人は「そのようなことなら、別段あなたのご教示に預からなくても承知しております。」と言った。 利休は、それに対して「しかし、実際にその通りにきちんと行われているなら、私は喜んであなたの弟子になろう」と言ったのでした。 「諸悪莫作 衆善奉行」とは正にそれと同じで、「言うは易し、行うは難し」です。昔、中国の鳥窠和尚が白楽天に言ったように「3歳の子どもでさえ言えることでも、80歳を超えた老人でさえ、その通りに行うことは非常に難しいものだ。知っていても実際に行わなければ、知っていることになならないし、何にもならない」ということです。この逸話以前に、わたし達は何が「善」で何が「悪」か判断できていない場合が多いのです。例えば、会社生活で落ちているゴミを拾わない、自分の仕事ではないからと考えるのです。些細な行動の中にも善悪の判断が存在します。つまり、「善」とは「利他の精神」「他者の幸福」を考慮する姿勢だと言えます。
著者 砂川昇建