砂川昇建会長ブログ 職場の教養に学ぶ!~転ばぬ先の杖~

砂川昇建 職場の教養に学ぶ!~転ばぬ先の杖~

《職場の教養に学ぶ》

お題:待っているつもり

2026年9月17日(木曜)

【今日の心がけ】自分を客観視しましょう

砂川昇建の思うところ

せっかちな人の話です。きっと、頭の回転が良い人なのでしょう。ですが、周りと歩調をあわせて進まないと、おてつき、になってしまいます。世阿弥の能楽論には、「間」を単なる空白ではなく、相手や場との関係のなかで働くものとして捉える発想があります。とりわけ有名なのが、動作と動作の間についての「せぬ隙」という考え方です。何もしていないように見える瞬間にも、心まで止めてしまうのではない。むしろ内側の緊張や意識はつながっている。後世、「心を十分に動かして、身を七分に動かす」といった世阿弥の教えとも結びつけて理解されます。これをビジネスに置き換えると、かなり実践的です。たとえば会議で、頭の回転が速い人には、相手が話している途中でも結論が見えることがあります。「つまりこういうことですよね」「だったらA案で行きましょう」と先に進める。本人にとっては効率化です。しかし、相手はまだそこまで到達していない。すると正解を言っているのに、お手つきになる。世阿弥的に考えるなら、そこで必要なのは「遅く考える」ことではありません。頭は先へ行っていていい。ただし、身体と言葉は場の間に合わせる。 これが重要です。せっかちな人の問題は「速いこと」そのものではなく、自分の速さで間を決めてしまうことにある、と考えると腑に落ちます。ここに、世阿弥の「離見の見」も重ねることができます。自分自身を、自分の目だけではなく、観客の側から見るという発想です。ビジネスなら、「私はもう分かった」から一度離れて、『いま、この会議はどこまで進んでいるのか』を外側から見るということです。 せっかちな人ほど、この「離見」が効きます。発言したくなった瞬間に、ほんの少しだけ、「私は準備ができた。でも、場は準備ができたか?」と考える。これは単なる我慢ではありません。むしろ高度な速度制御です。優れた指揮者が、自分だけ拍を先取りしないのと似ています。そして、世阿弥から学ぶ事は「先を読む。しかし、先に動かない。場の機が熟したところで動く。」頭の回転が速い人に必要なのは、ブレーキではなく「間」というトランスミッションなのかもしれません。

著者 砂川昇建

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