《職場の教養に学ぶ》
お題:一点突破
2024年11月21日(木曜)
【今日の心がけ】目の前のことに集中して取り組みましょう
砂川昇建の思うところ
今日の話は「虻蜂取らず」についてです。未熟な人が複数の業務を同時にこなすのが難しいのは、行動心理学や生理学的な要因に起因しています。未熟な人は、各業務のプロセスや優先順位を把握する経験が不足しているため、複数のタスクを同時に処理する際、脳にかかる認知負荷が大きくなります。特に、新しい情報を処理する際には、ワーキングメモリが大量に消費されるため、ミスや抜け漏れが発生しやすくなります。一方、熟練者は、業務プロセスや作業手順が「自動化」されており、脳のリソースを効率的に使うことができます。これにより、複数のタスクを同時に処理しても、認知負荷が軽減されるのです。人間の脳は、マルチタスクに向いていないという特性を持っています。未熟な人は一度に複数の作業に集中するのが難しく、頻繁にタスクを切り替えると注意力が散漫になります。これを「コンテクストスイッチング」といい、タスク間の切り替えに時間とエネルギーが消費され、効率が低下します。熟練者は、タスクの切り替えがスムーズで、必要な情報や手順が即座に思い浮かぶため、作業の中断や遅延が少なくなります。これにより、結果として作業効率が向上します。熟練者は、繰り返しの経験を通じて業務プロセスを自動化しています。自動化されたプロセスでは、脳のワーキングメモリをほとんど使用せずに作業を進めることができるため、他の業務にリソースを割くことができます。これは、無意識に自転車を漕いだり、運転したりするのと同じ原理です。熟練者は、業務全体の流れを理解しているため、優先順位を適切に判断し、重要なタスクから取り組むことができます。この能力は、視野の広さと経験に基づいた判断力によるものであり、複数の業務を効率よくこなすために必要不可欠です。複数の業務をこなす秘訣は、大きなタスクを小さなチャンクに分けることで、一度に処理する情報量を減らし、認知負荷を低減します。これにより、未熟な人でも達成感を得ながら業務を進めやすくなります。タスクを細分化した後は、重要度や緊急度に基づいて優先順位をつけます。これにより、何から着手すべきかが明確になり、作業の効率が向上します。複数の業務をこなす能力を向上させるためには、定期的なフィードバックと習慣化が必要です。上司や先輩からの指導を受け、徐々にスキルを高めていくことが効果的です。未熟な人が複数の業務をこなすのが難しいのは、認知負荷の高さや視野の狭さに起因します。しかし、チャンクダウンによる業務の細分化や優先順位の明確化、さらに習慣化を通じて、複数の業務を効率的に処理する能力を身につけることが可能です。熟練者のように視点と視野を広げ、効率的に業務を進められるように訓練していきましょう。
著者 砂川昇建