《職場の教養に学ぶ》
お題:備えで築く信頼
2026年9月28日(月曜)
【今日の心がけ】備えと共有で組織力を高めましょう
砂川昇建の思うところ
ビジネスシーンにおいて、未来を想像し備える事は大切な事です。世阿弥からこの事を学んでみましょう。世阿弥には「花」という重要な考えがあります。若い能役者には、若さや新鮮さだけで人を惹きつける魅力があります。世阿弥はこれを「時分の花」と考えました。しかし、それは永遠には続きません。年齢を重ね、若さという武器を失っても人を魅了できるものを身につけなければならない。それが、長い修練によって得られる「まことの花」です。これを会社経営に置き換えると、非常に分かりやすい。「現在の好業績は、会社の本当の実力なのか。それとも時代という追い風による『時分の花』なのか」という問いになります。 景気がいい。採用がうまくいっている。主力商品が売れている。大口顧客から仕事が来ている。これらは素晴らしいことですが、永続する保証はありません。むしろ経営者は、業績が悪くなってから考えるのではなく、業績が良いときに「この花はいずれ散る」と考える必要があります。「初心忘るべからず」は、過去だけではなく未来にも向いている ここが世阿弥の非常に面白いところです。一般には「初心忘るべからず=新人だった頃の謙虚な気持ちを忘れるな」と理解されます。しかし、世阿弥の初心はもっと深く、「是非の初心」「時々の初心」「老後の初心」と、生涯にわたって初心が存在すると説きます。つまり、人間は新人のときだけ未熟なのではありません。30歳には30歳で初めて経験することがあり、50歳には50歳の初心があり、老年になれば老年になった自分を初めて経験する。人生とは、新しい自分との遭遇の連続なのです。世阿弥を経営に置き換えると「未来の初心を、今から準備する」という事なのかも知れません。
著者 砂川昇建




