《職場の教養に学ぶ》
お題:垂涎の的
2026年6月5日(金曜)
【今日の心がけ】本当に必要か見極めましょう
砂川昇建の思うところ
垂涎の的 とは、「多くの人が、よだれを垂らすほど欲しがる対象」という意味です。「垂涎」は本来、おいしそうなものを見て思わずよだれが出ることですが、転じて、強く憧れる、非常に欲しい、という意味で使われます。そして、これとベブレン効果は非常に関係があります。ベブレン効果によって、高価である、希少である、持っている人が少ない 、という条件が揃うと、その商品は多くの人の「垂涎の的」になります。例えば、ブランド品は、性能ではなく「持つこと自体がステータス」であるため垂涎の的になります。ただし、仏教的に見ると興味深い点があります。垂涎の的は、手に入るまでは輝いて見えますが、手に入れた瞬間から「当たり前」になり始めます。すると人は、もっと高価なもの、もっと希少なもの、もっと人に自慢できるもの、を求め始めます。これは仏教でいう「渇愛(かつあい)」に近い現象です。経営者の世界でも似た話があります。若い頃は、年収1,000万円が垂涎の的だった人が、達成すると、年収3,000万円、さらに、1億円へと目標が移ります。しかし幸福度は必ずしも比例しません。そのため、多くの成功した経営者が晩年に「お金は大切だが、人生の目的ではなかった」と語ることがあります。ベブレン効果と垂涎の的を一言で表すなら、「人は物そのものより、その物が象徴する意味に憧れる」ということです。時計が欲しいのではなく成功の証が欲しい。高級車が欲しいのではなく達成感が欲しい。お金が欲しいのではなく安心や自由が欲しい。そこに気づくと、物に振り回されず、お金を手段として上手に使えるようになるのだと思います。
著者 砂川昇建




