《職場の教養に学ぶ》
お題:小さな一歩から
2024年12月30日(月曜)
【今日の心がけ】一歩を踏み出しましょう
砂川昇建の思うところ
地下鉄普及の話です。社会インフラを語る時、田中角栄を抜きには語れないと思います。田中角栄氏は、「日本列島改造論」を実行し様々な功績を作りました。高速道路網の整備、地下鉄建設、地方空港の拡充、農村への道路建設など、地方と都市の格差解消を目的に、全国規模のインフラ整備を推進しました。「東京一極集中」の是正を目指し、地方経済の活性化を図る政策を打ち出し実行しました。インフラ整備により、地方の交通利便性が向上し、物流や人の移動が活発化。建設ラッシュによる雇用の増加。特に地方では、建設業を中心に多くの労働者が職を得る事に成功しました。道路網や上下水道の整備により、国民生活の利便性や快適性が向上。交通や物流網が整うことで、企業の競争力が向上し、国全体の経済発展に寄与。高速道路や鉄道網の整備は、災害発生時の迅速な物資輸送や避難を可能にしました。高度なインフラ網は、外国企業や観光客を引きつけ、国際競争力の強化に貢献しました。日本列島改造論の推進に伴い、大規模な建設プロジェクトが次々に立ち上がり、それを管理・運営するための特殊法人が設立されました。特殊法人には、高速道路公団や都市基盤整備公団などが含まれ、国家予算や公債を活用して事業を進めました。巨額の資金を伴うインフラ事業が増加する中で、官僚主導の政策決定が常態化。事業の計画から実行までを官僚が主導するため、政治家と官僚の結びつきが強まっていきます。そして、政治家、官僚、建設業界が結びつく「鉄の三角形」の形成により、政治腐敗や談合が常態化。田中角栄の日本列島改造論は、戦後の日本経済を大きく発展させ、現代日本の基盤を築く大きな功績がありました。しかし同時に、政治・経済構造のゆがみや財政赤字、環境破壊などの負の側面も生み出しました。この功罪を踏まえると、インフラ整備のような大規模な国家プロジェクトでは、長期的な視野とともに、透明性の確保や持続可能性を考慮する必要があることが分かります。これは、一企業においても、急激な成長は、功績と功罪が存在する事を示唆しています。
著者 砂川昇建