《職場の教養に学ぶ》
お題:節約の意識
2026年8月19日(水曜)
【今日の心がけ】身近な資源を大切にしましょう
砂川昇建の思うところ
「節約」と「蜂の寓話」について考えてみましょう。「節約」と「蜂の寓話」は、経済学の歴史の中でも重要なテーマです。「蜂の寓話」とは、1714年にオランダ生まれの思想家・医師、バーナード・マンデヴィルが著した寓話です。物語では、一つの蜂の国が大変豊かに栄えています。しかし、その豊かさを支えていたのは、贅沢をする、おしゃれをする。ごちそうを食べる。高価なものを買う。という、人間でいう「私利私欲」でした。ところが、ある日、蜂たちは「これからは皆が質素で正直に暮らそう」と決意します。すると、誰も贅沢をしない。誰も高価なものを買わない。商売が減る。職人の仕事がなくなる。経済が縮小する。そして、国全体が貧しくなってしまいます。マンデヴィルは、 「私的悪徳は公共の利益になる」という、当時としては非常に挑発的な主張をしました。ここで節約を考えてみましょう。個人にとっての節約 節約すると、貯金が増える。将来への備えになる。無駄遣いが減る。これは個人には大きなメリットです。もし国民全員が極端に節約したらどうなるでしょう。外食しない。車を買わない。旅行しない。家も建てない。すると、売上が減る。企業の利益が減る。給料が減る。失業者が増える。という現象が起こる可能性があります。これを経済学では「貯蓄のパラドックス(節約のパラドックス)」と呼びます。個人にとっては正しい節約が、全員で同時に行うと経済全体には逆効果になる場合があるのです。私が考える節約の本質は、節約とは、「お金を使わないこと」ではなく、「価値の低いものに使わないこと」です。例えば、健康への投資、子どもの教育、良い本を買う、良い道具を買う、信頼できる人と会う、こうした支出は、単なる消費ではなく「未来への投資」です。一方で、衝動買い、見栄のための買い物、使わないサブスクリプション、などは、見直す価値があるでしょう。節約の目的は、お金をためること自体ではありません。自分にとって本当に価値のあるものを見極め、そこに時間・お金・労力を集中させることです。その意味では、「節約」は我慢ではなく、「選択の技術」と言えるのではないでしょうか。蜂の寓話は、「消費が経済を動かす」という視点を教えてくれます。一方で、現代の私たちは「何に消費するか」を選ぶ知恵も求められています。
著者 砂川昇建




