《職場の教養に学ぶ》
お題:裸の王様
2024年12月23日(月曜)
【今日の心がけ】周囲の声によく耳を傾けましょう
砂川昇建の思うところ
アンデルセンの「裸の王様」は、真実を語ることができない環境や権力者の盲信が招く愚かさを風刺した物語です。この寓話を「良い独裁者」と「悪い独裁者」という観点から考えると、それぞれのリーダーがどのようにフィードバックを受け入れるか、または拒絶するかが、その統治の結果に大きな影響を与えると考えられます。裸の王様の登場人物。王様: 権力者またはリーダーの象徴。詐欺師: 偽りの情報や阿諛追従(おべっか)を提供する人々。周囲の人々: 本当のことを言う勇気がない、または言えない環境を象徴。子ども: 純粋な視点で真実を述べる存在。寓話の中心的なテーマは、リーダーが現実を正確に把握できず、その結果として権力が失敗を招くかもしれないということです。リー・クアンユーは、シンガポールを貧しい第三世界の国から、豊かな先進国へと変貌させたリーダーとして知られています。彼の政治スタイルは強権的でしたが、合理性や国益を最優先にし、批判的な意見やフィードバックを一定程度受け入れる体制を整えました。リーは、フィードバックを完全に拒絶する「裸の王様」にはならず、周囲に有能な助言者を置き、現実を正確に理解しようとしました。プーチンは長期政権を築き、ロシアの権威主義体制を強化しました。周囲には彼を批判しない人々が多く、体制は「裸の王様」的な要素を持っています。 プーチンは、自分の意見や政策を批判する者を排除し、「詐欺師」のような人々に囲まれる状況を作り出しました。ウクライナ侵攻などの誤算に見られるように、真実を歪めた情報に基づいた意思決定が、国際的な孤立や経済的な困難を招いています。独裁的な体制では、真実が語られない環境が構築されやすく、それが失敗の原因となる。独裁そのものが良いか悪いかではなく、それをどう活用し、周囲からのフィードバックをどう取り入れるかが、結果を大きく左右します。「裸の王様」の教訓は、独裁だけでなく民主的なリーダーシップにも通じる普遍的なテーマです。独裁者で評価が二分されるのが中国の習近平です。習近平氏の指導下で、中国は経済成長や国際的影響力の拡大を遂げましたが、同時に国内外での人権問題や権威主義的傾向に対する批判も存在します。中国国内では、経済発展や社会安定に対する評価がある一方、国際社会では人権状況や強硬な外交姿勢に対する懸念が指摘されています。これらの評価は、情報の制約や報道の自由度の違いにより、多面的で複雑なものとなっています。習近平氏の功績に対する評価は、視点や立場によって大きく異なることを理解することが重要です。つまり、貧困から脱出して国民が中流階級になった事は評価される事ですが(実は、鄧小平の布石が大きいです)諸外国に対する強硬な領土や海洋進出は政界の反発をかっています。リーダーシップとは、一つの視野では語れないのですね。
著者 砂川昇建