《職場の教養に学ぶ》
お題：キング牧師の夢
2024年12月15日(日曜)
【今日の心がけ】先人の足跡に学びましょう
砂川昇建の思うところ
1963年8月28日、ワシントンD.C.で行われた「ワシントン大行進」において、マーティン・ルーサー・キング牧師が行った有名な演説「I Have a Dream」は、公民権運動の象徴となりました。キング牧師の夢は、アメリカが人種差別を乗り越え、平等と自由が全ての人々に保証される社会を築くことです。「私には夢がある。それは、ジョージア州の赤い丘の上で、かつての奴隷の子孫と奴隷主の子孫が、兄弟愛のテーブルに共に座る日が訪れるという夢である。」彼の夢は、肌の色によらず、全ての人が平等に評価される未来を描いていました。キング牧師の非暴力的な闘争の理念と、この夢の演説は、1964年の公民権法や1965年の選挙権法の成立に大きな影響を与えました。個人差別にはさまざまな歴史があります。アパルトヘイトとアメリカの状況の違いとして、アパルトヘイトは、 南アフリカで行われていた制度的人種隔離政策（1948年～1994年）。黒人が公民権を持たず、白人が特権を独占していました。アメリカでも制度的人種差別は存在しましたが（例: ジム・クロウ法）、公民権運動によって1960年代に法的には解消されました。1990年代に入ると、ネルソン・マンデラを中心とした国際的な圧力と国内の反発により、アパルトヘイトが廃止されました。アメリカでは、キング牧師をはじめとする公民権運動の影響で、法的な人種差別は大きく改善されました。ドナルド・トランプ氏は2017年にアメリカ大統領に就任し、「アメリカ・ファースト」を掲げました。2020年のジョージ・フロイド事件をきっかけとした「Black Lives Matter」運動では、再び人種問題が表面化しました。トランプ政権下で混乱が拡大したものの、2020年の大統領選挙ではジョー・バイデンが当選し、政策の転換を図っています。仏教の教えに照らし合わせると、キング牧師の夢や現在の混沌とした状況には以下のような意味が見出せます。仏教では「無我」の教えを通じて、全ての人が本質的に平等であると説きます。キング牧師の夢は、この平等性を社会に具現化する挑戦と見ることができます。慈悲の心（他者を思いやる心）と和合（争いを避け調和を目指す）が重要です。キング牧師の非暴力的な闘争の姿勢やアパルトヘイトの廃止運動は、仏教の理念に通じます。仏教の「縁起」の教えは、全ての現象が相互に繋がっていることを示します。トランプ時代の混沌もまた、過去の出来事や社会構造が生み出した結果であり、根本原因に目を向けることが解決への第一歩です。キング牧師の夢は、人種や肌の色を超えた平等と調和の社会を目指すもので、公民権運動やアパルトヘイトの終焉に多大な影響を与えました。一方で、トランプ政権による分裂や混乱も、根本的な差別や不平等の解決がまだ道半ばであることを示しています。仏教的な観点から見ると、こうした動きは平等や慈悲、和合への挑戦を象徴しており、混沌の中にも希望や成長の可能性が隠されています。私たち一人ひとりが、平等と調和を意識した行動をとることが、より良い社会への一歩となるでしょう。
著者 砂川昇建
